今年に入り、中国がフランスと天然ガスの取引に人民元を使用した。
そして今回は中国がブラジルとの取引で人民元を使用した。
日本のテレビでは流れないが、歴史的なことだ。(日本のテレビは主婦に節約を促すことが仕事である。)
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アメリカは世界の覇者だ。
アメリカの歴史は200年に過ぎない。しかし、圧倒的な人口流入と技術革新、そして第二次世界大戦で勝利したにも関わらず混乱期に入ってしまった前回王者イギリスを横目にアメリカは世界王者の地位を奪い取った。
国力とは人口と資源と技術の掛け合わせで算出される。そこに軍事力が加わり安定感が生まれる。
大戦疲れでイギリスは産業革命後の繁栄のすべてを失った。アメリカは直接的ではないがその地位を譲りうけた。棚ぼたとも言える。
この流れにより、世界の基軸通貨は米ドルとなった。
原油も金をも有するアメリカが世界経済のハブとなった。なにを取引するにも国家間では米ドルが使用されるようになった。
大戦からから80年。
潮目が変わってきた。
「中仏間の人民元使用」
中国の台頭。
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世界経済の血液は原油。どんなにインターネットや情報技術が進化しても、原油を燃やして火力発電をしなければどんな機械も動かない。車も飛行機もパソコンもアイフォンもAIも原油の前では赤子同然。太陽光や風力は世界の10%でしかない。原油が世界の中心だ。
この原油取引が米ドルで行われてきた。ペトロダラー。これがアメリカの覇者たる所以だ。
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なぜ使わざるを得ないか。慣習であり、消去法だ。
どの国も自国通貨が使いたい。
しかし、フランスはユーロ圏のしがらみと共に土地が狭い、ブラジル経済は安定していない、中国は資本主義ではない、日本はアメリカの傘下なのでそもそも議論にあがらない。
どの国も他国が信用できない。だれも互いを信用していない。
こうなってくると、すべての面で好条件なのはアメリカドルだ。
広大な土地、毎年増える人口、豊富な資源、圧倒的軍事力。
ほかに選択肢はない。
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しかし、金本位制の離脱以降アメリカの借金は増え続けている。
アメリカは自分の地位に甘えきっている。
「今月はお金が足りないからプリンターで印刷しよう」
こんな家計管理を続けている。
(日本も同様だがここでは触れない)
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この隙に中国が徐々に力をつけてきた。原油=アメリカの構図を変えにきている。
基軸通貨とはあくまで消去法。みなが次の座を狙っている。
「イギリスからアメリカへ」の流れが再び見えてきた。
ローマ、モンゴル、オランダ、イギリス
彼らは世界の覇者だった。しかし、平和のあとに政治が腐敗し、金融不安によりその地位を退いた。
歴史から学べることはいつも同じだ。
米ドルがなくなることは暫くはないだろう。
だが、「アメリカが世界の覇者だった」という未来が遠くないのも事実だ。
“History doesn’t repeat itself, but it rhymes.” 歴史は繰り返さないが、韻を踏む マーク・トウェイン/Mark Twain et al.
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